お役立ち情報
抗菌薬(抗生物質)の
効能・効果と飲み方
「かぜを引いたら抗生物質を飲んで早く治したい」「抗生物質をもらえると思って受診したのに、もらえなくてがっかりした」という患者さまの声を聞くことがあります。
抗菌薬(抗生物質)とは何か、どういうときに処方されるのか、どのように飲むべきなのか――正しい知識を押さえておきましょう。
抗菌薬(抗生物質)とは?
抗菌薬(抗生物質)とは、病気を引き起こす細菌を壊したり、増殖を抑えたりする薬のことを指します。
抗菌薬は数百種類もあり、それぞれ効き方が異なります。
「強めの抗生物質が欲しい」と希望する患者さまがいますが、細菌の種類によって、効果のある抗菌薬も異なるため、原因菌に合わせた抗菌薬を服用することが大切です。
なお、抗菌薬は細菌に対して働きかけるので、ヒトの細胞を破壊することはありません。
抗菌薬の分類と効果
抗菌薬は、細菌に対する働き方で、殺菌性と静菌性の2種類に大きく分けられます。
細菌を破壊するものが殺菌性、細菌の増殖を抑えるものが静菌性ですが、必ずしも殺菌性が静菌性より優れているというわけではなく、原因菌や個人の免疫力などに応じて使い分けます。
抗菌薬の分類
抗菌薬(抗生物質)が処方されるケース
抗菌薬(抗生物質)は、発症の要因、症状、検査結果、服薬歴などをもとに医師が必要に応じて処方する医療用医薬品です。
例えば、強い炎症が起こっている中耳炎や副鼻腔炎、それから肺炎や膀胱炎など細菌性の感染症に対しては、感染の原因である細菌を排除するために、抗菌薬を使って炎症を抑えます。
一方、ウイルスが原因となるかぜや、その他のウイルス性疾患(インフルエンザ、コロナウイルス感染症、アデノウイルス感染症など)に対しては処方されません。
抗菌薬の適応
抗菌薬(抗生物質)の正しい飲み方
1.用法・用量を守ってすべて飲み切る
医師の指示どおりに服用しなかった場合、抗菌薬(抗生物質)の作用が十分に発揮されません。
症状が良くなったからといって途中で服用を中断すると、再発したり完治が遅くなったりというリスクにつながります。
また、細菌には、生き残るために自らの遺伝子を変異させたり、別の細菌やウイルスから薬に抵抗するための遺伝子をもらったりする能力があります。
そのため、抗菌薬の作用が不十分だと、細菌自体がその抗菌薬に対して抵抗する力(耐性)を持ってしまうことがあります。
耐性ができると抗菌薬の効きが悪くなるので、処方された用法・用量を守り、すべて確実に飲み切りましょう。
ただし、じんましんなどのアレルギー症状が出たときは、すぐに医療機関へ連絡してください。
耐性菌のイメージ
2.副作用に備える
必ず副作用が出るわけではありませんが、抗菌薬の服用後、下痢や胃の痛み・もたれなどが生じることがあります。
これらは、腸内細菌のバランスが崩れると起こりやすいので、医師の判断によっては抗菌薬と同時に整腸剤が処方される場合もあります。
3.飲み合わせに注意する
ほかに飲んでいる薬やサプリメントとの相性によって、抗菌薬やほかの薬の効き目が弱まる可能性があります。
飲み合わせに問題がないか薬剤師に確認しましょう。
4.妊娠中・授乳中の場合は申し出る
胎児や乳児への安全性が確認できている抗菌薬もありますが、種類によっては悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠中や授乳中の場合は、必ず主治医や薬剤師にお伝えください。
抗菌薬(抗生物質)の服用に関して疑問や不安があるときは、公式アプリ「いつでもアイン薬局」の安心お薬サポート機能をご活用ください。
ちょっとしたことでもチャットやビデオ通話を使って薬剤師に相談できます。※
患者さま一人ひとりに合ったサポートが受けられるので、きっと安心できるはず。
仕事や育児、介護などで薬局に直接行くことが難しい場合にも便利です。
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参考文献・資料
記事監修
野原 弘義
精神科医/産業医
2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
入局。
2018年
製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年
アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。