糖尿病の基礎知識 外食・間食時のポイントは?

糖尿病の食事療法 気を付けるべきこととは?」では、血糖コントロールのカギとなる「食事療法」について解説しました。
糖尿病の治療は、血糖コントロールから始まると言っても過言ではありません。
そのため、糖尿病の方は毎日の食事を管理することが重要です。
とはいえ、時には外食や間食をしたいときもあるでしょう。
糖尿病の治療に影響しない範囲で、外食や間食を楽しむためのポイントを解説します。

この記事では主に2型糖尿病の方を対象としており、1型糖尿病の方は2型糖尿病とは異なる部分もあるので、かかりつけ医や栄養士とご相談ください。

糖尿病における外食のポイント

①栄養バランス

糖尿病では、食事の栄養バランスを整え、血糖値の急上昇を防ぐことが大切です。
しかし、無意識にメニューを選んでいると、炭水化物や脂質などを多く含むものに偏り、血糖値の急上昇を招きがちに…糖尿病の進行にもつながりかねません。
それを防ぐため、外食時も「5色の食材」をできるだけそろえるように意識しましょう。

5色の食材(図1)

5色の食材の説明図。白、赤、黄、緑、黒の色で分類されており、それぞれの特徴と食材がまとめられている。5色の食品をバランス良く摂取。「白」糖質が豊富。ご飯、じゃがいも、牛乳、きゅうり、白菜、バナナ、ごぼう、パンなど。「赤」栄養価の高い成分である(動物性タンパク質や脂質など)が豊富。豚肉、牛肉、鶏肉、マグロ、アジ、トマト、ニンジンなど。「黄」植物性タンパク質やビタミンが豊富。かぼちゃ、とうもろこし、卵、味噌、オレンジ、レモンなど。「緑」ビタミンやミネラルが豊富。ほうれん草、ブロッコリー、チンゲンサイ、キャベツ、キウイ、きゅうり、レタスなど。「黒」食物繊維やミネラルが豊富。海苔、黒ゴマ、わかめ、こんぶ、ほうれん草、しめじ、しいたけなど。

5色のバランスを意識すると、栄養的に偏った食生活になりにくいメリットがあります。
例えば、「丼ものや麺類よりも定食」「カツサンドよりもBLTサンド」というように、メニューの選び方を工夫して栄養バランスを整えましょう。
食べる前に色味が少ないと感じたら、摂取エネルギーが増え過ぎない範囲で副菜を追加してください。

参考):1日の推定エネルギー必要量は、18~64歳男性で2,600~2,700kcal、18~64歳女性で1,950~2,050kcal(いずれも身体活動レベルが「ふつう」の場合)。

②摂取エネルギー、塩分、脂質

血糖コントロールのためには、摂取エネルギーはもちろん、体内で血糖値を下げる働きを弱める塩分や脂質の摂り過ぎにも注意が必要です。
外食では摂取エネルギー、塩分、脂質が過剰になりがちなので、特に糖尿病の方は次のような工夫をしましょう。

  1. ご飯の量など選択肢が多い店を選ぶ
    例えば、雑穀米は食物繊維が豊富なので、白米よりも血糖値が上がりにくくなります。
    また、量を選べる場合、「少なめ」を選んで摂取エネルギーを抑えることができます。
  2. 濃い味付けのものを摂り過ぎない
    外食は基本的に味付けが濃く、塩分や脂質の摂り過ぎにつながりやすいため、特に糖尿病の方は注意が必要です。
    「揚げ物の衣は一部をはがす」「麺類の汁は残す」といった工夫をしてみましょう。
    また、しょうゆなどの調味料は「かける」のではなく、小皿に入れて「つける」ことを心がけてください。
  3. 糖質が低いお酒を選ぶ
    医師から禁酒の指示がなければ、糖尿病の方でも適量を守ってお酒を楽しむことができます。
    特にウイスキーなどの蒸留酒は、製造工程の特性から糖質を含まないため、血糖コントロールにおいては有利です。
    なお、ビールなどの「糖質ゼロ」は「糖質が全く入っていない」というわけではありません。
    100ml中0.5g未満は糖質を含んでいる場合があることを押さえておきましょう。

糖質が多いお酒(例)。ビール、日本酒、チューハイ、梅酒、ワイン。
糖質が少ないお酒(例)。ウイスキー、焼酎、ジン、ウォッカ。

糖尿病における間食のポイント

ついつい手が伸びてしまう間食ですが、ここでも注意が必要です。
小麦粉、もち米、砂糖などを含むお菓子には糖質が多く含まれているので、低糖質の間食を選ぶなど工夫しましょう。

また、糖尿病によるインスリン欠乏状態においてはタンパク質が分解されやすいため、不足しがちなタンパク質を間食で補うこともおすすめです。
タンパク質を摂って筋肉量を増やすと、血糖値の高低差を緩やかにすることができます。

低糖質の間食(例)。果物、チーズ、ナッツ類、寒天ゼリー。
タンパク質を含む間食(例)。小魚、乳製品、サラダチキン、ゆで卵。

そのほか、糖尿病の方に気を付けてほしいポイントとして、以下のことも覚えておいてください。

  1. 栄養成分表示を正しく理解する
    商品裏などに記載されている栄養成分表示をチェックして、摂取エネルギーなどを正しく把握することから、糖尿病の食事管理は始まると言えます(図2)。
    「1袋当たり」「1個当たり」を見間違えないよう注意してください。
  2. 「間食は1日80~100kcalまで」など上限を決める
    お菓子は小分けのものを選ぶと、食べ過ぎを防ぎやすくなります。
    「つい食べ過ぎた」は食事管理の大敵です。
  3. 水やお茶と一緒に、よくかんで食べる
    水分を多めに摂ったり、かむ回数を増やしたりすると、満腹中枢が刺激されて満足感が高まります。

間食の摂取エネルギー(図2)

各間食の摂取エネルギーを0kcalから500kcalの間でマッピングした図。0kcalから100kcalの間にヨーグルト小1個と缶コーヒー(190g)1本。200kcalに炭酸飲料水(500ml)1本。300kcalより前に板チョコレート1枚とフライドポテト(M)。300kcalから400kcalの間にカップラーメン1個。400kcal近くにショートケーキ1個。400kcalから500kcalの間にポテトチップス1袋。

ルールを決めて血糖コントロールを

特に糖尿病の方は、外食や間食は「週2回まで」「1日〇kcalまで」などルールを決めておきましょう。
その日の気分で行動すると、決めていた頻度や摂取量をあっという間に超えてしまいかねません。
カレンダーや手帳などに印を付けておき、外食や間食をした日を把握できるようにしておくと良いでしょう。
数値目標を含めたわかりやすいルールを決め、それに従って生活することが、血糖コントロールにおけるひとつのコツです。

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参考文献・資料

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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