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公開日:2023/6/30

お役立ち情報

脂質異常症(高脂血症)とは?
主な症状や改善に向けてできること

「サイレントキラー」とも呼ばれる脂質異常症

脂質異常症という病気は、聞き慣れない方が多いようです(かつては「高脂血症」と呼ばれていました)。
推定患者数220万人以上と言われており、年々その数は増えています。
自覚症状がほとんどなく気付きにくいですが、実は「サイレントキラー」と言われるほど静かにダメージを与えてくる病気です。

2つのコレステロールと中性脂肪の数値がポイント

「コレステロール」「中性脂肪」と聞くと、マイナスイメージを抱く方が多いのではないでしょうか?
しかし、これらは三大栄養素である脂質の一種であり、体内で重要な役割を果たしています。
ただし、血液中に含まれる量が一定基準より多くなる、あるいは少なくなると、健康上のリスクになります。

脂質異常症は、次の3つのタイプに大きく分けられます。
2つのコレステロールと中性脂肪のバランスが崩れると、問題が起こることがわかるでしょう。

LDL(悪玉)コレステロールが多い

LDLコレステロールは、肝臓から全身へコレステロールを運ぶ働きをしています。
多すぎると、血管壁に付着して、血管内がドロドロの状態に。

HDL(善玉)コレステロールが少ない

HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収する働きをしています。
少なすぎると、余分なコレステロールをきれいに掃除できず、血管内がドロドロの状態に。

中性脂肪(トリグリセライド)が多い

中性脂肪は、脂肪酸とグリセリンが結び付いた物質で、人体の重要なエネルギー源となります。
血液中の中性脂肪が増えると、LDLコレステロールが小型化して、血管壁にいっそう入り込みやすくなります。
一方、HDLコレステロールは、血液中の中性脂肪の増加により、量が減ってしまいます。
その結果、血管内はコレステロールがたまり、ドロドロの状態に。

コレステロールと中性脂肪

コレステロールと中性脂肪 コレステロールと中性脂肪

脂質異常症の診断基準

項目

基準値

診断

LDLコレステロール

140mg/dL以上

高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

40mg/dL未満

低HDLコレステロール血症

トリグリセライド

150mg/dL以上(空腹時採血)
175mg/dL以上(随時採血)

高トリグリセライド血症

日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.一般社団法人日本動脈硬化学会:東京,2022.

脂質異常症の診断基準

LDLコレステロール

基準値

140mg/dL以上

診断

高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

基準値

40mg/dL未満

診断

低HDLコレステロール血症

トリグリセライド

基準値

150mg/dL以上(空腹時採血)
175mg/dL以上(随時採血)

診断

高トリグリセライド血症

日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.一般社団法人日本動脈硬化学会:東京,2022.

コレステロールや中性脂肪が過剰になる原因には遺伝や他の病気の影響もありますが、生活習慣に問題があるケースがほとんど。
特に、高LDLコレステロール血症や高トリグリセライド血症は、食生活が直接的に反映されやすいので要注意です。

脂質異常症が「サイレントキラー」と呼ばれる理由

脂質異常症による自覚症状はほとんどありません(一部の方に黄色腫が出ることはあります)。
そのため、気付かないうちに血管内にコレステロールが蓄積し、じわじわと動脈硬化が進んでいることがあります。

動脈硬化の進行

動脈硬化の進行 動脈硬化の進行

その結果、ある日突然、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞といった大きな病気を発症することも少なくありません。
脂質異常症が「サイレントキラー」と呼ばれるのは、そのためなのです。

自覚症状がないからこそ、健康診断の数値を重要なサインととらえてください。
数値がよくない場合は、たとえ症状がなくても放置するのは禁物です。

食事と運動を見直して生活改善を始めよう!

脂質異常症の治療法には、食事療法、運動療法、薬物療法があります。
一般的には、まずは食事や運動といった生活習慣を改善し、経過を観察します。
生活習慣を改善して体重が減ると、コレステロールや中性脂肪の数値は下がることが多いです。
ただし、一定期間努力しても数値が改善しない場合や、動脈硬化や狭心症等のリスクが高いと判断された場合は、早めの薬物療法を検討することもあります。

脂質異常症の改善に向けてできること

食事療法

飽和脂肪酸(肉の脂身、バター、ラード、生クリーム等)を控える

甘いもの、お酒、糖質の摂りすぎに気を付ける

魚や食物繊維、大豆食品を積極的に摂る

ビタミンC・Eを多く摂る

寝る前の食事は控える

運動療法

少しきついくらいの有酸素運動が基本

毎日30分間できると理想的

(他の疾患を抱えている方は、必ず医師に相談を)

また、タバコはHDLコレステロールを減らすだけではなく、LDLコレステロールの酸化を促すため、禁煙も重要です。
酸化したLDLコレステロールは、血管壁を傷つけて血管壁に蓄積し、動脈硬化の直接的な原因になります。

ストレス解消や良質な睡眠を取ることも心がけてください。
ストレスや睡眠不足は脂質の代謝を弱めるので、LDLコレステロールや中性脂肪が増えやすくなります。
しかも、いつも以上に食欲が増すので、暴飲暴食になる可能性も。
好きなことに没頭したり、気が合う人と会話したりして、上手にリラックスしましょう。

生活習慣の改善はすぐに効果が出るわけではないので、途中で嫌になることもあるかもしれません。
しかし、他の生活習慣病の予防や改善にもつながるので、決して無駄にはなりません。

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生活習慣を改善するのは、簡単なことではないですよね。でも、できることから始めて少しずつ自信を重ねていけば、「トライしてよかった」と思える日がきっと来ます! 生活習慣を改善するのは、簡単なことではないですよね。でも、できることから始めて少しずつ自信を重ねていけば、「トライしてよかった」と思える日がきっと来ます!

記事監修

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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