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公開日:2023/9/27

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脂質異常症(高脂血症)の原因と治療法を解説

おさらいしよう!脂質異常症のこと

前回の記事では脂質異常症がどういう病気なのか解説しました。簡単におさらいしましょう。

脂質異常症は、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、じわじわと動脈硬化が進んでいることがあり、サイレントキラーと呼ばれることも。
動脈硬化が進行すると、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった大きな病気につながるので、早期発見・早期治療が大切です。

脂質異常症は、「LDL(悪玉)コレステロールが多い」「中性脂肪(トリグリセライド)が多い」「HDL(善玉)コレステロールが少ない」の3タイプに分けられます。
それぞれの原因と予防法を解説します。

脂質異常症の主な原因は生活習慣

コレステロールや中性脂肪が過剰になる原因は、遺伝や他の病気の影響もありますが、生活習慣であることがほとんど。
食事や運動といった生活習慣を整えることが大切です。

脂質異常症を発症する主な原因

脂質異常症を発症する主な原因 脂質異常症を発症する主な原因

LDL(悪玉)コレステロール高値の場合

LDLコレステロールが高くなる主な原因は、飽和脂肪酸の摂りすぎです。
飽和脂肪酸を含む食品(肉の脂身、バター、生クリーム、インスタントラーメンをはじめとする加工食品等)を知っておき、摂取の量や頻度を減らしましょう。
また、コレステロール(鶏卵、魚卵、レバー等)の摂りすぎにも要注意です。

中性脂肪(トリグリセライド)高値の場合

中性脂肪が高くなる主な原因は、糖質やお酒等によるエネルギー(カロリー)の摂りすぎです。
特に主食となるお米、パン、麺の糖質量には注意が必要。
何も意識せず飲食していると、あっという間に過剰になる可能性も……。
一日に必要なエネルギー量と実際に摂取しているエネルギー量を照らし合わせてみましょう。

推定エネルギー必要量※1

(kcal/日)

性別 男性 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い 低い ふつう 高い
18〜29歳 2,300 2,650 3,050 1,700 2,000 2,300
30〜49歳 2,300 2,700 3,050 1,750 2,050 2,350
50〜64歳 2,200 2,600 2,950 1,650 1,950 2,250
65〜74歳 2,050 2,400 2,750 1,550 1,850 2,100
75歳以上 ※2 1,800 2,100 1,400 1,650

※1

この表を活用するにあたっては、対象者の食事摂取状況、体重及びBMIを把握し、エネルギーの過不足は体重の変化またはBMIを用いて評価します。

※2

75歳以上の身体活動レベルに関して、「ふつう」は自立している人、「低い」は自宅にいてほとんど外出しない人に相当(「低い」は高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている人にも適用できる)
「低い」の場合、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要があります。

厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年版)」

推定エネルギー必要量※1

(kcal/日)

性別 男性
身体活動レベル 低い ふつう 高い
18〜29歳 2,300 2,650 3,050
30〜49歳 2,300 2,700 3,050
50〜64歳 2,200 2,600 2,950
65〜74歳 2,050 2,400 2,750
75歳以上 ※2 1,800 2,100
性別 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い
18〜29歳 1,700 2,000 2,300
30〜49歳 1,750 2,050 2,350
50〜64歳 1,650 1,950 2,250
65〜74歳 1,550 1,850 2,100
75歳以上 ※2 1,400 1,650

※1

この表を活用するにあたっては、対象者の食事摂取状況、体重及びBMIを把握し、エネルギーの過不足は体重の変化またはBMIを用いて評価します。

※2

75歳以上の身体活動レベルに関して、「ふつう」は自立している人、「低い」は自宅にいてほとんど外出しない人に相当(「低い」は高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている人にも適用できる)
「低い」の場合、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要があります。

厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年版)」

HDL(善玉)コレステロール低値の場合

HDLコレステロールが低くなる主な原因は、肥満や喫煙、運動不足です。
タバコは、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らします。
すると、動脈硬化が進行し、心疾患や脳卒中、腎臓病を招きかねません。
脂質異常症による健康リスクをさらに高めることになるので、ぜひ禁煙をおすすめします。

脂質異常症を遠ざける3本柱

どのタイプの脂質異常症でも、次の3本柱が治療の基本です。
日常生活での小さな頑張りの積み重ねで、数値の改善が期待できます。

食生活の改善

バランスの取れた食事が重要です。以下の具体的な方法を参考にしてください。

運動

ジョギングやウォーキング、水泳等の有酸素運動を定期的に行いましょう。

禁煙

禁煙するのに遅すぎることはありません。

食生活の改善、具体的にはどうする?

症状の悪化を防ぐためには、食生活を整えることが重要です。
寝る直前(エネルギーの消費量が少なく食べたものが中性脂肪になりやすい傾向がある)を避け、規則正しくバランスの取れた食事を意識しましょう。

食生活を改善しよう!

食生活を改善しよう!

油ものを控える

脂質異常症の原因となる飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれています。
「肉の脂身や皮の部分を取り除く」「焼くよりも蒸す・茹でる」といった工夫を。

魚を食べる

LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。
特に青魚(サバ、イワシ、サンマ等)やマグロの赤身、タイがおすすめです。

植物性タンパク質を摂る

血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
豆製品(豆腐、納豆、枝豆等)を積極的に摂りましょう。

食物繊維を摂る

コレステロールや中性脂肪の腸内での吸収を妨げる働きがあります。
いも類(さつまいも、さといも、こんにゃく等)や根菜類(ごぼう、レンコン等)、キノコ類、海藻類を積極的に摂りましょう。

お酒を飲みすぎない

過度なアルコール摂取は中性脂肪を増やします。
1日当たり、ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までが目安。
さらに、「低糖質・低脂質のお酒を選ぶ」「飲みながら油っこいおつまみを食べない」といった工夫を。

甘いものは控えめに

お菓子は、小分けになっているものや低糖質のものを選びましょう。
砂糖の入った清涼飲料水やコーヒーを控えることも、日々のちょっとした工夫として大切です。

薬を使った治療が必要になるとき

遺伝による発症のとき、生活習慣の改善では十分な成果が得られないときは、薬を使った治療を行います。
具体的にはLDL(悪玉)コレステロールを低下させる薬や中性脂肪(トリグリセライド)を低下させる薬等ですが、服用が長期に及ぶこともあります。

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生活習慣の改善による「目に見える変化」を意識することが継続のコツです。例えば、体重や健診結果の数値に変化が出れば、より前向きに取り組めると思います!

記事監修

野原 弘義

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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