お役立ち情報
脂質異常症(高脂血症)の原因と治療法を解説
おさらいしよう!脂質異常症のこと
前回の記事では脂質異常症がどういう病気なのか解説しました。簡単におさらいしましょう。
脂質異常症は、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、じわじわと動脈硬化が進んでいることがあり、サイレントキラーと呼ばれることも。
動脈硬化が進行すると、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞といった大きな病気につながるので、早期発見・早期治療が大切です。
脂質異常症は、「LDL(悪玉)コレステロールが多い」「中性脂肪(トリグリセライド)が多い」「HDL(善玉)コレステロールが少ない」の3タイプに分けられます。
それぞれの原因と予防法を解説します。
脂質異常症の主な原因は生活習慣
コレステロールや中性脂肪が過剰になる原因は、遺伝や他の病気の影響もありますが、生活習慣であることがほとんど。
食事や運動といった生活習慣を整えることが大切です。
脂質異常症を発症する主な原因
LDL(悪玉)コレステロール高値の場合
LDLコレステロールが高くなる主な原因は、飽和脂肪酸の摂りすぎです。
飽和脂肪酸を含む食品(肉の脂身、バター、生クリーム、インスタントラーメンをはじめとする加工食品等)を知っておき、摂取の量や頻度を減らしましょう。
また、コレステロール(鶏卵、魚卵、レバー等)の摂りすぎにも要注意です。
中性脂肪(トリグリセライド)高値の場合
中性脂肪が高くなる主な原因は、糖質やお酒等によるエネルギー(カロリー)の摂りすぎです。
特に主食となるお米、パン、麺の糖質量には注意が必要。
何も意識せず飲食していると、あっという間に過剰になる可能性も……。
一日に必要なエネルギー量と実際に摂取しているエネルギー量を照らし合わせてみましょう。
推定エネルギー必要量※1
(kcal/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い | 低い | ふつう | 高い |
18〜29歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30〜49歳 | 2,300 | 2,700 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
50〜64歳 | 2,200 | 2,600 | 2,950 | 1,650 | 1,950 | 2,250 |
65〜74歳 | 2,050 | 2,400 | 2,750 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
75歳以上 ※2 | 1,800 | 2,100 | ー | 1,400 | 1,650 | ー |
※1
この表を活用するにあたっては、対象者の食事摂取状況、体重及びBMIを把握し、エネルギーの過不足は体重の変化またはBMIを用いて評価します。
※2
75歳以上の身体活動レベルに関して、「ふつう」は自立している人、「低い」は自宅にいてほとんど外出しない人に相当(「低い」は高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている人にも適用できる)
「低い」の場合、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要があります。
厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年版)」
推定エネルギー必要量※1
(kcal/日)
性別 | 男性 | ||
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
18〜29歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 |
30〜49歳 | 2,300 | 2,700 | 3,050 |
50〜64歳 | 2,200 | 2,600 | 2,950 |
65〜74歳 | 2,050 | 2,400 | 2,750 |
75歳以上 ※2 | 1,800 | 2,100 | ー |
性別 | 女性 | ||
身体活動レベル | 低い | ふつう | 高い |
18〜29歳 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30〜49歳 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
50〜64歳 | 1,650 | 1,950 | 2,250 |
65〜74歳 | 1,550 | 1,850 | 2,100 |
75歳以上 ※2 | 1,400 | 1,650 | ー |
※1
この表を活用するにあたっては、対象者の食事摂取状況、体重及びBMIを把握し、エネルギーの過不足は体重の変化またはBMIを用いて評価します。
※2
75歳以上の身体活動レベルに関して、「ふつう」は自立している人、「低い」は自宅にいてほとんど外出しない人に相当(「低い」は高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている人にも適用できる)
「低い」の場合、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要があります。
厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年版)」
HDL(善玉)コレステロール低値の場合
HDLコレステロールが低くなる主な原因は、肥満や喫煙、運動不足です。
タバコは、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らします。
すると、動脈硬化が進行し、心疾患や脳卒中、腎臓病を招きかねません。
脂質異常症による健康リスクをさらに高めることになるので、ぜひ禁煙をおすすめします。
脂質異常症を遠ざける3本柱
どのタイプの脂質異常症でも、次の3本柱が治療の基本です。
日常生活での小さな頑張りの積み重ねで、数値の改善が期待できます。
食生活の改善
バランスの取れた食事が重要です。以下の具体的な方法を参考にしてください。
運動
ジョギングやウォーキング、水泳等の有酸素運動を定期的に行いましょう。
禁煙
禁煙するのに遅すぎることはありません。
食生活の改善、具体的にはどうする?
症状の悪化を防ぐためには、食生活を整えることが重要です。
寝る直前(エネルギーの消費量が少なく食べたものが中性脂肪になりやすい傾向がある)を避け、規則正しくバランスの取れた食事を意識しましょう。
食生活を改善しよう!
油ものを控える
脂質異常症の原因となる飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれています。
「肉の脂身や皮の部分を取り除く」「焼くよりも蒸す・茹でる」といった工夫を。
魚を食べる
LDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。
特に青魚(サバ、イワシ、サンマ等)やマグロの赤身、タイがおすすめです。
植物性タンパク質を摂る
血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
豆製品(豆腐、納豆、枝豆等)を積極的に摂りましょう。
食物繊維を摂る
コレステロールや中性脂肪の腸内での吸収を妨げる働きがあります。
いも類(さつまいも、さといも、こんにゃく等)や根菜類(ごぼう、レンコン等)、キノコ類、海藻類を積極的に摂りましょう。
お酒を飲みすぎない
過度なアルコール摂取は中性脂肪を増やします。
1日当たり、ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までが目安。
さらに、「低糖質・低脂質のお酒を選ぶ」「飲みながら油っこいおつまみを食べない」といった工夫を。
甘いものは控えめに
お菓子は、小分けになっているものや低糖質のものを選びましょう。
砂糖の入った清涼飲料水やコーヒーを控えることも、日々のちょっとした工夫として大切です。
薬を使った治療が必要になるとき
遺伝による発症のとき、生活習慣の改善では十分な成果が得られないときは、薬を使った治療を行います。
具体的にはLDL(悪玉)コレステロールを低下させる薬や中性脂肪(トリグリセライド)を低下させる薬等ですが、服用が長期に及ぶこともあります。
いつもの薬をもらう時間を短縮したいとき、薬や食事療法の相談をしたいときは、公式アプリ「いつでもアイン薬局」をご活用ください。
処方箋送信機能を活用すれば、薬局での待ち時間を短縮できます。※1
簡単操作で、処方箋画像を薬局へ送信。薬ができたらアプリでお知らせいたします。
安心お薬サポート機能では、チャットやビデオ通話を使って薬剤師に気軽に相談できます。※2
薬局まで足を運ばなくてよいので、便利です。
※1
処方箋の有効期限内〔発行日を含めて原則 4日間〕に原本のご提出が必要です。電子処方箋の場合は処方内容(控え)を撮影してください。電子処方箋対応薬局は、薬局選択時もしくは薬局検索画面から確認できます。
※2
ご利用には「アイン薬局とつなぐ」のご登録が必要です。
参考文献・資料
記事監修
野原 弘義
精神科医/産業医
2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
入局。
2018年
製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年
アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。