お役立ち情報
健康診断で病気の予防や
早期治療につなげよう!
健康診断の結果には、自分の身体の情報が詰まっています。
実際のところ、その結果のどの部分を見て病気や症状を疑ったり、リスクが高いと判断したりするものなのでしょうか。
いくつかの検査項目とともに、あらためて健康診断の目的を確認しましょう。
健康診断はなぜ重要?
初期の段階ではまったく症状がない病気も多いため、健康診断の定期的な受診が重要です。
健康診断の結果をきっかけとして、病気の早期発見・早期治療に結び付くケースが少なくないからです。
特に健康に自信のある方は健康診断を軽く考えてしまいがちですが、これを「自分事」として捉えるかどうかで将来が変わってくるかもしれません。
なお、健康診断を受けるにあたってはさまざまな注意事項があり、これを守らないと結果に影響するおそれがあります。
せっかくの健康診断を意味あるものにするため、必ず注意事項を守りましょう。
今回の結果だけに注目していませんか?
健康診断の結果が返ってきたとき、医療機関による「A」「B」などの判定や、基準値の範囲内にあるかどうかだけを気にしていませんか?
判定だけでなく、前回の結果と比べての推移を知ることも重要です。
基準値の範囲内だったとしても、前回から悪化している傾向を見逃すと、さらなる悪化を食い止められない可能性があるからです。
原則として年に1回、定期的に健康診断を受けて、生活習慣の改善や早めの受診につなげてください。
健康診断の検査値と初期症状
ここでは、定期健康診断の項目の中から、罹患率が高く、初期症状がわかりにくい病気の発見につながる5つの検査値を取り上げます。
それぞれに異常(経過観察や要検査)があった場合に疑われる代表的な病気・症状を、初期症状とともに見ていきましょう。
血圧
高血圧症の疑いを調べる、健康診断の必須項目です。
数値が高いほど脳血管障害や心疾患などの発症リスクが上がります。
高血圧症では、頭痛やめまい、鼻血などがみられることもありますが、ほとんどの場合で自覚症状はありません。
塩分の摂取量を抑えたり、体重を落としたりすることで、血圧の改善が期待できます。
稀に、内分泌腫瘍が原因で高血圧となることも。
こうした隠れた疾患が健康診断をきっかけに見つかるかもしれません。
ヘモグロビン濃度
貧血の疑いを調べる、健康診断の必須項目です。
全身に酸素を運ぶヘモグロビンの血中濃度が基準値を下回ると、身体が一種の酸欠状態になり、めまいや立ちくらみ、頭痛などの症状が現れます。
貧血を予防・改善するためには、鉄分そのもの、あるいは鉄の吸収を高めたり赤血球の生成に使われたりする成分を、食事からしっかり摂ることが第一です。
同時に、鉄の吸収を阻害する食品をできるだけ控えることも重要です(図1)。
大腸がんなど消化器系のがんが原因で慢性的な出血が続き、貧血に陥ることも。
貧血の疑いがある場合は、早期受診をおすすめします。
貧血予防のための食品の例(図1)
健康長寿ネット「貧血予防に良い食事・食べ物・調理方法とは」
糖代謝
糖尿病の疑いを調べる、健康診断の必須項目です。
主な項目は血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)があります。
血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の量の指標であるのに対し、HbA1cは直近1~2か月の血糖値を反映する指標です。
そのため、HbA1cは検査当日の食事などの血糖値の影響を受けません。
糖尿病では、初期には自覚症状がなくても、進行するにつれて喉の渇きや尿量増加、倦怠感、体重減少などの症状が現れることがあります。
糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)の摂取量を減らしたり、体内での吸収量を抑える工夫をしたりすることで、数値の改善が期待できます。
尿酸
痛風の疑いを調べる、健康診断の必須項目です。
痛風を発症すると、特有の激痛や関節炎などの症状が現れます。
その痛みは強烈で、例えば靴や靴下を履くだけでも痛く、歩くのが困難になることも。
尿酸値を改善するためには、原因となるプリン体を含む食事の摂り過ぎや過度のアルコール摂取、運動不足といった生活習慣を見直すことが有効です。
プリン体を多く含む食品の例(図2)
脂質代謝
各種コレステロールや中性脂肪から脂質異常症の疑いを調べる、健康診断の必須項目です。
脂質異常症では多くの場合で症状が現れませんが、皮膚や眼球に異常がみられることがあります。
食事や運動習慣の見直し、禁煙により数値の改善が期待できます。
健康診断に関する不安や疑問は薬剤師に相談を
健康診断の結果について不安や疑問があれば、薬局の健康相談を利用してみることもひとつの方法です。
また、健康状態を把握してくれるかかりつけ薬剤師がいれば、健康診断の結果を伝えることで、自分では気づけなかった検査値の悪化など、健康状態の変化を見抜いてくれるので安心です。
公式アプリ「いつでもアイン薬局」の「安心お薬サポート」でも、チャットやビデオ通話を使って薬剤師に気軽に相談できるので、ぜひご活用ください。※1
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記事監修
野原 弘義
精神科医/産業医
2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室
入局。
2018年
製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年
アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。