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更新日:2025/04/16

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今からできる!
食事や生活習慣における高血圧対策

おさらいしよう!高血圧のこと

高血圧の主な症状とは?原因・治療法をチェック」では高血圧がどういう病気なのか解説しました。
簡単におさらいしましょう。

高血圧は目立った自覚症状がないので油断しがちですが、実は脳卒中や心疾患などにつながる原因のひとつです。
血圧が高い状態が続くと、身体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があり、視力低下や全身のむくみが生じ、やがて人工透析が必要になることも。
高血圧の原因は特定が難しい場合が多く、「塩分を控える」「適正体重を維持する」といった生活習慣の見直しが改善のポイントとされています。

しかし、食事や運動といった生活習慣の見直しは簡単ではなく、血圧を適切にコントロールできている人は少ないといわれています。
そこで、今からでも実践・継続しやすい、食生活の改善や運動の方法をご紹介します。

高血圧の食生活改善ポイント

塩分量に注意したい食品・食材を知る

高血圧を改善するためには、塩分を控えることが重要です。
まずは、日々摂取している塩分量の多い食品や食材を把握することから意識してみましょう。
好きなものを好きなだけ食べていると、思っている以上に多くの塩分を摂取してしまう可能性があります。
塩分量が多い食品・食材を意識して、食べる量を控えましょう。

例:カップ麺・インスタント麺、漬物、干物や塩鮭(中辛・辛口)、たらこ・明太子、練り物やハム・ソーセージなどの加工食品

塩分量に注意したい食品・食材の一例

塩分量に注意したい食品・食材の一例

摂取した塩分量を知る

塩分量は、栄養成分表示の「食塩相当量」で把握できます。
塩分量が「ナトリウム量」として書かれている場合は、「塩分量=ナトリウム量の約2.5倍」と覚えておくと塩分量に変換できます。
「ナトリウム量=塩分量」ではないので、ご注意ください。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、高血圧の治療を受けている方の場合、1日の塩分摂取量は目安を6.0g未満としています。※1
普通に食事をしているだけでも、基準以上の塩分を摂取してしまうことがあるため、塩分量を意識することが重要です。
毎日でなくても定期的に1日の塩分摂取量を計算し、基準をどれくらい上回っているか確認してみましょう。
体重計で自分の体重をチェックするのと同じように塩分摂取量の増減を意識するようになれば、より具体的な行動を起こしやすくなります。

  • ※1

    塩分摂取量は病状などにより異なることがあります。主治医がいる場合は主治医の指示に従ってください。

ちょっとした減塩の工夫を

食品や食材の塩分量に気を付けるだけでなく、だしのうまみや香辛料を生かして塩分に頼らず味にメリハリを付けることでも、減塩対策の効果を高めることができます。

減塩の工夫

塩分量が多いものは、食べる量や回数を減らして楽しむ
だしのうまみや香ばしい風味を活用する
酸味や香辛料を加えて満足感を高める
しょうゆやソースは「かける」よりも小皿に出して「つける」
麺のスープは残す(半分残すだけでも効果あり)
薄味だからと食べすぎない

カリウムが豊富な食材を
積極的に摂取する

カリウムは、体内のナトリウムを体外に排出する効果が期待できます。
塩分調整の効果を高めることができるので、カリウムが豊富な食品・食材を意識して取り入れると良いでしょう。

カリウムが豊富な食品の例

  • ・いも類

    (さつまいも、じゃがいも)

  • ・果物

    (バナナ、柿、キウイ)

  • ・緑黄色野菜

    (ほうれん草、ブロッコリー)

  • ・ナッツ類

カリウムの摂取目標量は、年齢や性別によって異なりますが、18歳以上の男性で1日3,000mg、女性で2,600mgとされています(「日本人の食事摂取基準(2025年版)」より)。※2

  • ※2

    摂取量は病状などにより異なることがあります。主治医がいる場合は主治医の指示に従ってください。

カリウムは水溶性なので、「煮る」「茹でる」といった調理法では水に溶け出してしまいます。
効率よく摂取するためには、生の野菜や果物を取り入れる方法がおすすめです。
ただし、腎臓の機能が低下している方は注意が必要です。
過剰に摂取すると高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、医師や栄養士に相談の上、適切な摂取量を守るようにしましょう。

カルシウムやマグネシウムが
豊富な食材を積極的に摂取する

カルシウムやマグネシウムは、血圧を下げる効果が期待できます。

  • カルシウムを多く含む食材の例:牛乳、ヨーグルト、チーズ、煮干し
  • マグネシウムを多く含む食材の例:豆製品(納豆、豆腐、枝豆など)、海藻類、キノコ類

飲酒の習慣を見直す

過度な飲酒は、高血圧を引き起こす要因のひとつです。
一時的に血圧が上がるだけでなく、慢性的な高血圧のリスクも高まるので、適切な飲酒量を守ってください。
厚生労働省では、節度ある飲酒量として、男性では1日当たりビール中瓶1本、日本酒1合、ワイン2杯程度を推奨しています。
ただし、アルコールの分解能力には個人差があるので、体質的にお酒に弱い方、女性、高齢者などは、上記より少ない量が推奨されています。

また、アルコールの摂取量が多くなると、血圧が悪化するだけでなく、塩分が多く含まれるものを欲する傾向が強くなり、塩分摂取量が増えやすくなります。
特に習慣的にアルコールを摂取している方は、以下のような工夫を心がけるとよいでしょう。

  • 休肝日を設ける
  • アルコール度数の低いお酒を選ぶ
  • 食事中や食後に水やお茶を飲み、満腹感を高める

高血圧対策のための1日の
塩分摂取量の工夫

前述のように、高血圧の治療を受けている方の1日の塩分摂取量の目安は6.0g未満なので、1日3食だとすると1食当たり2g弱しか塩分を摂れないことになります。
1日をトータルで考え、「6.0g未満」という枠の中で朝食と昼食は塩分を抑え、夕食はやや多めにするといったメリハリを付けることも工夫のひとつでしょう。
ただ、それでも「6.0g未満」の達成は考えている以上に大変です。
ここまでに紹介してきたポイントを参考にして、「減塩でも満足できる食事」を目指しましょう。

生活習慣における
血圧改善のポイント

血圧が基準値を上回っていても、すぐに薬による治療が始まるわけではありません。
血圧の値に応じて、まずは食事や運動の改善を試みながら経過を観察することもあります。
ここからは、生活習慣の見直し方や改善方法について解説します。

肥満(太りすぎ)を解消する

肥満を原因とする高血圧の場合は、体重を減らすことで血圧の値が改善することがあります。
体重が増えると、全身に血液を送り出すために心拍出量が増加し、血管にかかる圧力(血圧)が上昇します。

肥満を解消することは高血圧の改善につながり、適正な体重を維持することは高血圧の予防に有効です。
高血圧の改善や予防は、長期的に継続して取り組むことが重要です。
無理のない範囲で、続けられる方法を見つけていきましょう。

運動を習慣化させる

運動を習慣化できれば、血管の収縮力や弾力性の改善が期待できます。
そのほか、肥満予防、良質な睡眠、ストレス解消などにつながるメリットもあるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
ただし、激しい運動をすると、血圧が急激に上昇し、心臓や血管に過度の負担がかかる恐れがあるので、高血圧の方には心拍数を安定させたままで行える運動が推奨されています。
特に運動制限されている方は、運動の内容や強度について、事前に主治医と相談してください。
運動制限がない場合でも、自分の体調に合った運動を行いながら、徐々に強度を上げるようにしましょう。

運動に自信がない方は、負担が少なく継続しやすい「ながら運動」がおすすめです。
テレビを観ながらスクワットする、歯磨きしながらかかとを上げるといった方法があります。

ながら運動の一例

ながら運動の一例

ランニングやウォーキングも効果的です。
1回当たり30分程度、少し汗をかくくらいの運動を目安にしてみましょう。
ひとりで行うよりも、仲間を誘って楽しく習慣化できると良いですね。

血圧を測定して記録をつける

生活習慣の見直しや改善とともに、もうひとつ大切なことは日々の血圧測定と記録です。
血圧は自宅で簡単に測定でき、数値として結果を把握できるので健康状態を知るための重要な指標になります。
1日の中で測定するタイミングを決めておくと、測定忘れを防ぎやすくなります。
できるだけ安静を保てるタイミングで測ると、測定値のぶれを抑えることができます。
毎日の測定と記録を習慣にして、後から振り返ることができるようにしましょう。

測定した値がふだんよりも高い場合は、深呼吸してからもう一度測定し、その平均値を記録します。
このとき、測定するときの条件はそろえるようにしましょう(例:起床後に排泄を済ませ、深呼吸を1回した後)。
血圧は、食事、入浴、排泄(はいせつ)といったさまざまな要因で変動し、1日の中で上がったり下がったりするため、条件をそろえないと日々の変動を追うことが難しくなるからです。

血圧の値が改善しているかどうかを目で見て確認できると、モチベーションの維持・向上につながります。
定期的に測定と記録を行い、効果的な血圧管理を行っていきましょう。

血圧測定のタイミングとポイント

部 屋:
静かで、過ごしやすい温度
姿 勢:
椅子に脚を組まずに腰掛ける
測定前:
たばこを吸わない、飲酒しない、
カフェインを摂らない
測定中:
話をしない、力を入れたり
動いたりしない
記 録:
原則として2回測って、
すべてを記録する

「一般向け『高血圧治療ガイドライン2019』解説冊子 高血圧の話」を元に作成

薬を使った治療が
必要になるとき

食生活の改善や運動に取り組んでも高血圧が続くときは、薬を使った治療を行います。
降圧薬にはさまざまな種類があり、1種類だけ服用することもあれば、複数の種類を組み合わせることもあります。
薬を使った治療は長期にわたることもあるので、医師に指示されたことを守り、しっかりとコントロールしていきましょう。

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  • ※3

    処方箋の有効期限内〔発行日を含めて原則 4日間〕に原本のご提出が必要です。電子処方箋の場合は処方内容(控え)を撮影してください。電子処方箋対応薬局は、薬局選択時もしくは薬局検索画面から確認できます。

  • ※4

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まずは気軽に取り組めそうなところから、食生活の改善や運動を始めたいですね。「継続は力なり」で頑張っていきましょう!

記事監修

野原 弘義

野原 弘義

精神科医/産業医

2014年 慶應義塾大学医学部卒業。
2016年 慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室 入局。
2018年 製薬会社の統括産業医に就任し、大手金融企業や広告代理店企業などの産業医を務める。
2023年 アインファーマシーズ統括産業医に就任。
スタートアップ企業の産業医にも注力しながら、生活習慣病とメンタルヘルスの方への夜間診療を行うMIZENクリニック市ヶ谷麹町の院長として日々診療に従事している。

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